「真贋を問う」⑨

シリーズ9回目に登場するのは「忖度しない」「志を遂げ」て“社会を変える”・・・そんな官僚も日本にいたんだと評判の方です。このほど「社会は変えられる 世界が憧れる日本へ」(国書刊行会刊)を書いた現職官僚の江崎禎英さん(経済産業省)

「カッコいい」ぐらいの“すご腕”

この江崎さんという官僚はとにかく「カッコいい」方のようです。過去には経済産業省(当時は通産省)という立場にありながら当時の大蔵省(現在の財務省)の管轄である株式の店頭市場改革や外国為替管理法改正などを仕掛け、実現したという信じられないほどの“すご腕”の持ち主です。

こんな官僚「待ってました」

この本の書評を書いた介護福祉ライターの宮下久美子さん(社会福祉士、臨床心理士)は「江崎さん評」を次のように書いています。

「おかしいものはおかしい」と言わずにいられないタイプらしい。(江崎氏のような官僚の出現に対して)「待ってました」と言いたいところだ。

 

根底に「インパール作戦」の惨劇

「おかしいものをおかしい」と言う江崎さんの考えの根底にあるのが、太平洋戦争において無謀な作戦で数万人もの死傷者を出した「インパール作戦」です。「おかしい」と気付いても、それを正すのは自分の役割ではないと目をつぶる。それによって何万もの犠牲者が出ても、自分は与えられた役割を果たすだけ、と誰も責任を取らなかった・・・。

超高齢社会で悲劇を繰りかえさない

そんな江崎さんがまた新たに提案しているのが,同じく管轄外の「医療保険制度」の改革についてです。

高齢化率27%を超え、超高齢社会となった日本の社会保障制度を前に、また「インパール作戦」のような悲劇が繰り広げられてはいけない。

 

使い放題でコスト意識が働かず

年間150回を超える同氏の講演会で発表されたのは「いまの医療保険制度は患者にも医師にも“優しい”ために、使い放題でコスト意識が働かない。薬の対価を支払う患者ではなく、処方を決める医師が直接の顧客となっている医薬品業界の特殊性が問題」とキッパリ。

効かない抗がん剤には薬剤費を払わない

事例として挙げたのが「抗がん剤」です。投与される患者の側に立って「効かなかった抗がん剤には薬剤費を払わない代わりに、効いた薬の薬価を大幅に引き上げてはどうか」。まったく当たり前のことを言っているようですが、これを口にした官僚はもちろん江崎さんが初めてではないでしょうか。

日本に残されたわずかな光明

自己保身のために権力者に忖度し、あげく国会でウソの答弁を繰り返し、つじつま合わせに公文書を破棄したり、改ざんしたり・・・。国民の官僚に対するイメージはもはや最悪です。そこに江崎さんのような官僚の存在は日本に残されたわずかな光明というのはあまりに大げさでしょうか?

江崎さんのような官僚、日本にたった一人ではない、と信じたいものです。

「きばれ、日本の官僚どん、ちぇすとー」

引用、参考の記事

「おかしいものはおかしい」と、ズバリと言う官僚の登場 『社会は変えられる』書評 yahooニュース2018/6/26配信

鳥海山と桜(提供ぱくたそ)